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葵祭の終着点として知られる上賀茂神社は、伊勢神宮に次いで高い位を与えられた京都最古の神社です。
その格式を物語るように、気品に満ちた檜皮葺きの社殿や神が降り立つという不思議な立砂が、凛と澄みきった高貴な美しさをたたえています。

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"楢(なら)の小川"と呼ばれる神聖な浄めの川は、神社を出て明神川と名を変え、その川沿いに上賀茂神社の神官たちの屋敷である社家(しゃけ)が清楚な佇まいを見せています。
 賀茂菜とも呼ばれるすぐき菜は、もともと社家の一人が京都御所から種子を貰い受け自分の庭で栽培したものが辺りに広まったとも言われ、その起源はナント400年前に遡るのです。

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一度食べたらやめられない!すっぱい珍味

 おつけものといえば普通は「しょっぱい」ものですね。そんな中で"すぐき"はちょっと個性派です。味も香りもユニークで、初めて召し上がる方は、ほのかな甘酢っぱい香りとまるでヨーグルトのような快ちよい酸味に驚かれるかもしれません。
 このまろやかな「すっぱさ」が"すぐき"の魅力なのです。つけもの好きをうならせる熟成されたコクと酸味は、思わずクセになる危険な味かも?!


乳酸発酵、無添加のヘルシー食品

 "すぐき"には豊富な乳酸菌が含まれています。
 乳酸菌は腸の働きを助けるだけでなく、ガンに効果があるといわれるインターフェロンとの関係も注目されており、近年ますます評価の高いスグレもの。毎日乳酸菌タップリのヨーグルトを食べてとっても長寿なコーカサス地方のお年寄りは有名ですね。
 また、"すぐき"は伝統の技と塩だけで作る正真正銘の自然食品。添加物は一切使わず、各農家に伝わる秘伝の味を頑固に守り続けているのです。

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① 収穫

 11月になると、農家の庭先に採入れの始まったすぐき菜がうず高く積まれていきます。

② 面取り

 収穫したすぐき菜の根や皮を包丁で剥ぎ取ります。

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③ 荒漬け

 面取りの後、ていねいに皮をむいて真っ白になったすぐき菜は、水を張った直径2メートルもの巨大な樽で一晩、たっぷり塩をふり重石をかけて漬け込まれます。
 これで塩の浸透をよくして本漬けの準備が整います。


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④ 本漬け(天秤押し)

 四斗樽の底から渦巻き状に、一段ずつたっぷり塩をかけて並べられたすぐき菜は、この地特有の"天秤押し"でじっくり漬け込まれます。
この"天秤押し"は、長さ3~4メートルの丸太ン棒の先に重石をくくりつけテコの原理を応用して相当な圧力をかけるというスグレた知恵。
 樽のふたには清らかな塩の華が咲いて、上賀茂の冬の風物詩として親しまれています。

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⑤ 室(むろ)

 本漬けが終わったすぐき樽は、室に入れて乳酸菌で醗酵させ、あのコクのある酸味が生まれます。

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⑥ 完成

 室から出して自然に冷やせば
"すぐき"の出来上がり!
 樽から出したての鈍い光沢・・・なかなか画像で伝わらないのが口惜しいナ。 
ぜひ本物を見てほしい!

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1 水でサッと洗って下さい。
2 葉茎とかぶらを切り離します。
3 かぶらは、まずタテ半分に切り、それを山型に3mm程度の厚さで切ります。葉茎は、みじん切りにして添えます。
4 お好みにより醤油を少々。
ご飯との相性はもちろん、酒の肴にもぴったりです。


(旬は12月~2月まで)